川中島白桃の人工授粉の仕方

摘蕾が終わり、桃の花が満開を迎えようとしている4月中旬。川中島白桃の人工授粉が始まりました。

自園では3年前に川中島白桃という品種の植え付けを行ないました。自園では過去に育てた事がない品種です。

目次

人工授粉とは?

人工授粉とは、花粉を人の手で雌しべにつけることです。ミツバチに受粉してもらう方法もあります。これにより、実が成る確率が高まります。

人工授粉が必要な品種とそうでない品種がある

桃は人工授粉が必要な品種とそうでない品種の2つに分かれます。自園の品種で申しますと、あかつき・暁星は花粉があるため自家結実できる(何もしなくても自然に実が成る)品種。川中島白桃は花粉が無いため自家結実ができず、人工授粉が必要な品種になります。

人工授粉の方法

人の手により花と花を直接擦り合わせる方法と、梵天(ぼんてん)に花粉を含ませ花に軽く触れる方法を試してみました。

梵天(ぼんてん)
梵天(ぼんてん)

↑の画像は梨の受粉に使っていた梵天です。未使用品の在庫が残っていたので使わせてもらう事にしました。先端にふわふわした鳥の羽根のようなものが付いています。

その①直接擦り合せる

花びらを取り花粉が付けやすい状態になったあかつきの雄しべ
花びらを取り花粉が付けやすい状態になったあかつきの雄しべ
川中島白桃の花に直接擦り合せる
川中島白桃の花に直接擦り合わせる

↑1個で約10花の受粉を行ないました。

その②梵天(ぼんてん)を使って受粉する

あかつきの花粉を梵天に含ませる
あかつきの花粉を梵天に含ませる
花粉をたっぷり含み、黄色くなった梵天
花粉をたっぷり含み、黄色くなった梵天
川中島白桃の花に軽く触れる
川中島白桃の花に軽く触れる

花粉をたっぷり含ませた梵天で1度に50花ほど受粉しました。

受粉する花の位置

15cmまでの短い枝ですと先端部に、それ以上の長さの枝は中間部を中心に受粉します。いずれも斜め下向きか横向きに付いた花に受粉しました。生産性をよくするためと、あとで袋掛けをしやすい位置に実をつけてもらうためです。

実を成らせる必要のない位置の蕾を前もって落として(摘蕾して)おきますと、受粉の作業時間短縮にも繋がります。

人工授粉の適期

摘蕾を終え、人工授粉の適期を迎えた川中島白桃
摘蕾を終え、人工授粉の適期を迎えた川中島白桃

人工授粉は7分咲き〜満開にかけて2、3回行なうのがよいそうです。

手作業で花粉を採取してみた

梵天を使って受粉をする場合、前もって摘花した花から花粉を採取しておくのが一般的なようです。私も花粉採取の作業に挑戦してみました。

摘蕾を見落としたり、甘かった枝の桃の花が開花。摘花して花粉採取する
摘蕾を見落としたり、甘かった枝の桃の花が開花。摘花して花粉採取しました。

摘花した花をよく見てみると、開花直後の花には黄色い花粉がたくさん付いていますが、適期がずれた花には花粉が付いていません。

右は風船状に膨らんだ蕾、中央が開花直後、左は開花から5日以上経過した花
右は風船状に膨らんだ蕾、中央が開花直後、左は開花から5日以上経過した花

開花直後の花粉の付いた花だけ、花粉採取に使用しました。

急きょ花粉採取することを決めたので、専門的な道具などはありません。台所にある道具で代用してみました。

目の粗いかす揚げの金網の部分に花をこすり、葯(やく)を空き瓶の中に落としました。葯(やく)とは雄しべの先の、花粉が入った袋のことをいいます。1個1個手作業で行ないました。

台所にあった目の粗いかす揚げとジャムが入っていた空き瓶を使って花粉採取
台所にあった目の粗いかす揚げとジャムが入っていた空き瓶を使って花粉採取

人工授粉にかかった時間

1回目の受粉では、直接花を擦り合せる方法で1本あたり90分。梵天を使った方法で40分。摘花した花の花粉採取には50分程かかりました。

2回目の受粉からは、咲いたばかりの淡い色の花だけに絞って受粉をしましたので、作業時間は1回目よりも半分に短縮されました。

人工授粉をしていて気づいた事ですが、咲いたばかりの花は淡いピンク色をしているのですが、時間が経過するにつれ雄しべを中心に濃いピンク色になるようです。

目視で受粉が確認できないので不安になりました

淡々と人工受粉の作業を行なって参りましたが、花粉が雌しべにきちんと付いているのか、花粉が小さすぎて目視で確認できませんので、これで本当に実がなるのかな?花粉足りてるのだろうか?などの不安がありました。

上手く受粉できてるのかな?その後の様子

受粉してから18日後の桃の様子
受粉してから18日後の様子

↑の画像は人工授粉から18日後の桃の様子です。無事に実が成っているのを確認しました。直接花を擦り合せた木2本と、梵天で受粉した木1本、いずれもたくさんの実が付いていました。