桃の蕾は膨らんでくると、耐寒も弱くなります。
遅霜が降りると桃の生育に障害がでることがあるので、今回は凍霜対策についてご紹介させて頂ければと思います。
目次
凍霜害とは?
夜間から朝にかけて冷え込み、桃の花や実が凍結して生育に障害が出る事を凍害や霜害(霜が降って凍結した場合は霜害)と言います。凍害、霜害を合わせた意味で、凍霜害(とうそうがい)と呼ばれています。
桃の蕾が硬い時期は寒さに強いのですが、開花直前からは−2℃以下になると生育に障害がでるといわれています。
蕾が膨らみ始めたころ→−4.5℃
花弁が見え始めるころ→−3.5℃
開花直前→−2.3℃
満開以降→−2℃
上記の温度が30分以上続くと生育障害が出る危険があります。
常に天気予報で冷え込みや霜が降らないかをチェックしたほうが良さそうです。
霜が降りる条件は?
霜が降りる夜間から朝にかけては気温がぐんと下がります。霜が降りる条件を調べてみました。
霜の説明
霜というのは0℃以下に冷やされた空気中の水蒸気が物や草花について氷になる現象をいいます。
晴れて雲が少なく、風も弱い夜は地上の熱は放射冷却によりどんどん空へ抜けていき、冷えて霜が降りやすくなります。
放射冷却とは
地表は日中にため込んだ太陽熱を夜に外へ逃すのですが、この働きを放射冷却と言います。
昼間、太陽の熱で温められた地表は夜になると熱が放射されて宇宙に戻ります。曇った夜は熱が反射し遮られるため宇宙に戻りにくくなります。
また、冷たい空気は重く地表に留まりやすいため風が弱いほど上空の温かい空気と混ざりにくいため冷え込みが激しくなります。
つまり、春先の晴れて風が弱い夜から朝にかけてが要注意です。
天気予報をチェックして、霜注意報が出ていたら霜対策を念頭に置きましょう。
凍霜対策の方法
霜対策には、火を焚く、薬剤を散布する、ファンを回すといった対策があります。また、予め摘蕾の段階で花芽を多めに残すといった対処もありますが、凍霜害が無かった後の摘果は量が増えて大変になります。
- 火を焚く
- ファンを回す
- 薬剤を散布する
- 花芽を多めに残す
薬剤を散布するとは、霜対策用の薬剤を散布するとある程度の寒さは防げるようです。
指導会で教えて頂いたのは、散布して日数が経つと効果が薄れるので、冷え込む前日に散布するのがベストで、火を焚いて園地の温度を上げるとより確実とのことでした。
自園で行った凍霜対策
自園で行った凍霜害対策は「火を焚く」と「花芽を多めに残す」の2つです。
実際に行った霜対策の流れ
4月16日夕方、ツイッターで明日は霜が降りる事を知る。
4月17日未明。農協の霜対策のサイトをチェックしたら、点火準備になっていた。
朝4時に再びチェックしたら点火になっていたので、農協さんに連絡したところ3時半に点火になっていた事を知る。焚く事を決定。
※点火する場合は農協に連絡してくださいとサイトに書いてあったので、電話をしました。
幸い旦那さんの仕事が休みだったので、2人で点火の準備を進め、1時間遅れの4時半に火を焚き始めました。
火を置く距離はネットで見つけた霜対策のマニュアルを参考にさせていただき配置しました。
そのマニュアルによると、10アールあたり20〜60箇所で火を焚くとのことでしたので、自園では10アールあたり20個か所で火を焚きました。
全ての配置場所に点火を終えた頃には薄明るくなっていました。
完全に出遅れた感はありました。
初めて霜対策をした今回は行動できただけでよしと思う事にしました。
今回の反省をして、果樹園に気温計を設置しておく事と、次に霜警報がでたら早めに準備を行おうと思いました。
その後の生育状況
霜から約20日後、無事に実ができていました。
昨年のように霜害で茶色になっている様子はありません。