昨年は全体的に色付きが薄くて、出荷する桃の規格基準では糖度は高いのに特秀品を逃すという、くやしい思いをしました。
自分なりに改善し、今年は特秀品を多く出荷することができましたので、どのような方法で桃の色づきが向上したのかをご紹介させていただければと思います。
目次
冬剪定(11月〜3月)
桃づくりの最重要な作業である剪定。冬に行う剪定が不十分ですと、枝葉が混んで内部に日光が行き届かず、桃に光が当たらないので、色づきが悪くなります。
昨年は剪定が不十分で枝葉が混んでしまったので、今年は思い切ってすっきりさせました。
液体肥料を活用する(4月〜8月)
自園では『ペンタキープHyper5000』という液体肥料を使用しています。値段は1本15000円と高価ですが、数回に分けて使い、桃の木1本あたり1回50円の計算になるので、それほど割高感はありません。

葉が展開を始めた4月下旬から消毒散布時に薬剤と一緒に水に混ぜて使用しています。
昨年は途中で切らしてしまい、6月までしか使用しませんでした。今年はそれぞれの桃の収穫直前まで使用しました。
徒長枝の切除(6月〜8月)
徒長枝(とちょうし)は上に勢いよく伸びる新梢(しんしょう。春から新しく伸びた枝)です。樹勢が強い木には特に多く発生し、桃に光が行き届かない箇所がでてくるので、地面に木漏れ日が落ちるくらいに薄くします。根元10センチを残して切ると、病細菌被害の予防になります。
昨年はこの作業が不十分で、桃に光が行き届かなかったように思います。
反射シートを張る(7月〜8月)
自園ではアルミシート(銀シート)を使用しています。

金づちとピンを使って銀シートを地面に張り付けていきます。


桃に接している葉を取る(7月〜8月)
これは完全に見栄えの問題ですので、必須ではありません。出荷規格では葉の形がくっきりついた桃は特秀から秀にランクが下がってしまいます。


味に変わりはありません。葉を取るのは収穫の5日前で十分です。できるだけ葉は残すのが鉄則です。
秋剪定(9月)
冬剪定の補助的な作業です。
収穫が終わり、朝晩が涼しくなる秋頃にも軽く剪定を行います。葉が緑に茂っている状態での整枝なので、来年の、葉が展開した状態を想像しやすくなります。地面に木漏れ日が落ちる程度に剪定します。
あまり枝を切りすぎると樹勢が崩れてしまう恐れがあるので、本格的な剪定は木が休眠期に入る冬に行ないます。
以上のことを行いましたら、色づきがよくなり、品質向上に繋がりました。
実際に食べ比べてみても、赤く色付いた桃は色づきの薄い桃よりさらに甘みが強かったです。
甘さは気候に大きく左右される
甘くて美味しい桃をつくるために試行錯誤をしていますが、一番の要素は気候が大きく関係しています。
晴れの日が多いと桃は甘くなります。
雨が多いと甘みが薄くなりがちです。
あかつきの平均糖度は、
記録的な干ばつの昨年(2018年)は15度。
記録的な日照不足で雨の多かった今年(2019年)は13度でした。
今後は土壌管理にも力を入れ、赤く色付いた甘くて美味しい桃づくりを目指したいと思います。