透明水彩と不透明水彩と油彩の特徴

今回は透明水彩と不透明水彩と油彩の違いや特徴についてご紹介させていただければと思います。

目次

透明水彩と不透明水彩

透明水彩と不透明水彩はどちらも水で溶いて描きますが、両者の特性の違いは顔料と展色材(アラビアゴム)の配合比が大きく関係しています。

透明水彩は顔料を少なくしてアラビアゴムの配分を多くし、不透明水彩は顔料を多くアラビアゴムの配分を少なくしています。

透明水彩はアラビアゴムが多いため透過性が高まり、不透明水彩はアラビアゴムが少ないため不透明に見えます。

アラビアゴムとは

アフリカ原産のアラビアゴムの木の樹皮の切り口から出る分泌物を乾燥させたもので薄黄色をしています。吸水するとゼラチンのように膨潤し、絵具だけでなくお菓子や飲料などにも使われているようです。

透明水彩

紙の白を活かす

透明水彩の際立った特徴は、絵の白い箇所やハイライト部分には絵の具を使わず紙の白地を残すというところです。

紙に描く

透明水彩は水彩紙に描くことをおすすめします。最高級紙のアルシュ紙は水に濡れても紙の変形が極めて少ないです。

にじみ

“にじみ”を使って描くのが透明水彩の持ち味ではないかと思いす。

先に塗った絵具が乾かないうちに水を含ませた筆でにじませたり、他の色を塗ってにじませます。

塗り重ねると下の色が透けて見える

透明水彩絵具は重ね描きすると下の色が透けて見えます。絵具の中には不透明色もありますが、下の色を完全に覆い隠すのには向いていません。

<透明色>下に塗った黒色が透けて見える
<不透明色>下に塗った黒色を完全に覆い隠せない

修正が難しい

透明水彩は乾きが早く、塗った後の修正は難しいので、計画的に一気に塗り進めるのが理想です。

乾いた絵具は再び使える

パレット上で乾いた絵具は濡れた筆でなぞればまた使えます。

不透明水彩

不透明水彩の絵の具は少なめの水でクリーム状の柔らかさまで溶いて使います。

紙や木製パネルに描く

不透明水彩は水彩紙や板(木製パネル)に描かれることが多いです。

塗り重ね

下の色の影響をあまり受けずに塗り重ねる事ができますし、塗りムラも出にくいです。

暗い色の上に明るい色を塗る事ができ、その逆もできて重厚な表現も可能です。

絵具が乾くのが早いですが、塗り重ねによる修正ができます。

明るい部分には絵具のホワイトを使う

絵の白い部分やハイライトはホワイトの絵の具を使います。

乾くと使えない

透明水彩とは違い、不透明水彩は乾くと水を加えても再び使えません。

不透明水彩の種類

不透明水彩にはガッシュ、ポスターカラーなどの種類があります。

油彩

透明水彩や不透明水彩にはない深みのある豊かな色と輝きが油彩の魅力です。

溶き油を使う

油彩は水ではなく専用の油で溶いて使います。

キャンバスや木製パネルに描く

油絵具はキャンバスや板(木製パネル)に描かれる事が多いです。

厚塗りできる

量感があって厚塗りできるので塗り重ねたり途中で描き直すこともできます。

明るい部分は絵具のホワイトを使う

絵の白い部分やハイライトは絵具のホワイトを使います。

乾きが遅い

絵具の表面が乾くのに1日〜5日程かかります。完全に乾くまでには半年から1年かかります。

臭いがある

油絵具には独特の臭いがあり、長時間臭いのこもった部屋にいると体調が悪くなる恐れがあるので(私の場合は頭痛でした)換気をしながら描くのをおすすめします。

それぞれの絵具で水仙を描いてみました

透明水彩、不透明水彩、油彩で水仙を描いてみました。

それぞれの絵具の特徴が伝われば幸いです。

透明水彩
不透明水彩
油彩

まとめ

それぞれの特徴をまとめてみました。

透明水彩

  • 紙の白地を活かす
  • 水彩紙に描く
  • 厚塗りには向いていない
  • 修正が難しい
  • 絵具が乾くのが早い
  • パレット上で乾いた絵具は水で再び使える

不透明水彩

  • 厚塗りができる
  • 水彩紙や木製パネルに描く
  • 明るい部分は絵具のホワイトを使う
  • 絵具が乾くのが早い
  • 絵具は乾くと使えない

油彩

  • 水ではなく専用の溶き油を使う
  • キャンバスや木製パネルに描く
  • 厚塗りができる
  • 明るい部分は絵具のホワイトを使う
  • 乾きが遅いので描きながら修正できる
  • 臭いがあるので換気しながら描く