今年の冬は温暖な日が続き、桃の開花が例年にないほど早かったのですが、その後0度〜5度の低温の日が続き、霜も2、3回おりました。
地元の新聞記事を読んで知ったのですが、献上桃で知られる桑折町ではマイナス5度まで下がり7割近い冷霜被害に遭ったところもあるようです。
果たして当園はどれ程の影響が出るのでしょうか。
農協さんの指導によりますと、今年は遅霜による被害がどれ程になるのか未知数で、結実した様に見えても落ちてしまうかもという懸念から、様子を見るために予備摘果を遅らせました。
冷霜害で予備摘果の必要がほぼない木もありますが、気を取り直して
基本の予備摘果の仕方をご紹介したいと思います。
目次
摘果と予備摘果とは
4月30日、本来よりも1週間ほど遅らせて予備摘果を開始しました。
実を落とす作業を摘果(てきか)といいます。
収穫までの約3ヶ月の間に少しずつ実を減らしていく事で最後に残った実が良質の桃になります。
満開後15日〜30日頃までに行う摘果は農家さんの間では予備摘果と呼ばれています。
予備摘果の仕方
まず、
①形の悪いものや傷ついた実

②病害虫の被害にあった実(特にカメムシによる凹みの被害が多いです)
を落としたら、次に
③5cm以下の枝はいい場所(実が大きくなった時に枝葉に接触しなそうな場所)に1果
5cm〜15cmの枝は1〜2果

15cm〜30cmの枝は3〜5果
30cm〜50cmの枝は5〜7果
50cm〜100cmの枝は葉芽あたり1果
を残します。
川中島白桃は生理的落下が比較的多いので、2、3回に分けて少しずつ摘果します。
全ての桃の木を共通して枝の勢い、葉の大きさなどで残す実の数は前後します。経験を積んで、自分なりに探っていきましょう。
花殻は丁寧に取り除いておきましょう

花殻はそのままにしておくと不清潔で、そこから病害が発生することもあるので、取り除いておいた方が良いです。
取り除いたところは予備摘果が終わった目印にすると便利です。
予備摘果と並行して穿孔細菌病対策
予備摘果をしていると、全ての枝1本1本に目を通すので、自然と枝先が枯れているのが目に入ります。
枝先が枯れた枝はシンクイムシによる被害か、穿孔細菌病に感染した可能性が極めて高いので、見つけたらその場で切除します。


陽の当たらない内側の部分なども枯れていることがありますが、枯れている枝に実が触れると傷ついてしまうのでこちらも切ります。
梅雨に入ると雨風で感染が広がるので、今のうちに徹底した切除を行います。
切り取った枝は穴を掘って埋めるか、燃やす、園外に持ち出すなどして感染拡大を防ぎます。
穿孔細菌病3つの徹底防除方法はこちらの記事で紹介しています。
結果的に摘蕾50%〜60%が適度でした
2月〜3月にかけて桃の木のエネルギー浪費を抑えて良質の桃にするために蕾を間引く作業、摘蕾(てきらい)というのを行なっているのですが、
晩成種の川中島白桃は人工授粉が必要で、実止まりも高くない品種なので当園では50%〜60%の摘蕾をしています。
早生種の暁星、中生種のあかつきは桃づくりの本や農協さんの指導では70%〜80%とあったので、私はこれを参考にしてきました。
義母は霜や何かの被害を心配して毎年甘めの摘蕾50%〜60%を行なってきました。
たらればの話になりますが、結果として今年は霜害があったので、50%〜60%の摘蕾が適正でした。
義母に手伝って頂いたあかつき半数と、もともと摘蕾の甘い川中島白桃は霜害による被害を回避できました。
では、毎年あかつきと暁星の摘蕾も甘くするか?
その分、予備摘果で着果調整をするのはかなりの負担になります。人員がいれば問題なさそうですね。
