満開後40日〜55日頃に行う摘果は仕上摘果、本摘果と呼ばれています。
硬核期(種が硬くなるデリケートな期間)までに終えておきたい作業でもあります。
今年は霜の被害で例年より実の数が少なく、予備摘果は楽でしたが、仕上げ摘果ではある程度良い実を選ぶ着果調整ができました。
今回は仕上摘果の作業をご紹介したいと思います。
目次
形の悪い実や傷のある実を落とす
形の悪い実は大きくなっても製品としては出荷できませんので摘果します。
傷が付いている実は等級は下がるものの小さければ出荷できることもあるため、周辺に正常な実が全くない場合は残しても良いかもしれません。生産者さんの性格で残すか摘果するかは変わってくると思います。私は気になってしまうので摘果します。
極端に小さい実を落とす
他の実に比べて極端に小さい実は収穫までに他の大きな実に成長が追いつくことは無いので、摘果して栄養を残った実に使ってもらいます。
中くらいの実は迷うところですが、周辺に正常で大きな実がない場合には残しています。
害虫の被害にあった実を取る
これは製品として出荷することは100%ありませんので摘果します。
カメムシの被害にあった実は凹んでいるだけなので、そのまま地面に落としておけば土に還りますが、シンクイムシのように実の中に潜ってしまう害虫の被害にあった実は、焼くか、埋めるか、水につけて確実に処理をして被害拡大を防ぎます。
位置の悪い実を落とす
位置の悪い実というのは、成長すると枝や桃同士が接触する実のことをいいます。接触してしまうと傷が付いてしまうので今のうちに摘果しておきます。判断に困るものは残して、実が大きくなった時にまた判断します。
病害の実を落とす
穿孔細菌病、黒星病、灰星病、うどんこ病に感染してしまった実も摘果します。
穿孔細菌病、黒星病は実に黒褐色の点々が付いているので、摘果します。
灰星病は収穫期に見たことがある程度で、あまり詳しくないのですが、今の段階ではミイラ化した実が枝に残っていたり、花殻が実に付いたまま残っている場合は発生源になる恐れがあるので取っておいた方が良さそうです。
うどんこ病の場合は問題なく出荷を迎えることもあるので、周りに正常な実がない場合は残しておいてもよいかもしれません。
10日おきに殺菌剤の散布を行なっている自園では今まで収穫量が壊滅的になるような被害にはあっていません。いずれは減農薬も行いたいと思ってきましたが、桃栽培の経験が増えるほど、減農薬は病害虫の被害が飛躍的に上がる事が想像できます。
双胚果(ふたはいか)を見分けて摘果、据え置きする
仕上・本摘果の大きな特徴になるのが、この双胚果を見分けて摘果するというところだと思います。
双胚果とは種の中の胚が2つある実のことで、このまま成長すると果肉に亀裂が入り病害の被害にあいやすくなります。正常な実は今は平たいですが、収穫する頃には真丸になり、双胚果は横長になります。仕上摘果で優先的に落としますが、問題なく出荷を迎える場合もあるため、周辺に正常果がない場合は残しておきます。
双胚果だと思って摘果したものの、立派な正常果だったということもたまにあります(笑)。
仕上摘果・本摘果の程度
摘果の程度は、
15cm以下の枝は1〜2本に1果
15cm〜30cmの枝は1〜2果
30cm〜50cmの枝は3〜4果
50cm〜100cmの枝は7〜10果
を枝に残します。
最終的に葉が早生種40枚、中生種50枚、晩成種60枚に対して桃の実1果を残すので、今はその1.5倍〜2倍の実を残しておきます。
暑さに体が慣れていないので熱中症に注意
気温が25℃を超えると熱中症の危険が出てきます。
今年は体調が良くなかったのか、既に3回も軽い熱中症になり頭痛と吐き気でしんどい思いをしました。
昨年から気になっていたファン付きのベストを買おう思いましたが、お値段が1万円以上で充電パックが意外と重く体力消耗しそうだなと二の足を踏んていたところ、汗を発散させて体を冷やすインナーを発見。試しにこれを買って着てみることにしました。
気温28度の中、1日中桃の袋がけ作業をしたのですが、風が吹くと掻いた汗がすぐに蒸発していくのが分かって、快適感があり、熱中症になりませんでした。
今年はこれで乗り切ってみます。
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