穿孔細菌病(せんこうさいきんびょう)・・・、それは果樹園の興亡と大きな関わりを持つ重要な病害です。
桃栽培をしたことがある方なら、耳にしたことがあるのではないでしょうか?
プロとして桃栽培を続けるには、生産量を左右する病害ですので防除は必要不可欠です。
今回は自園で行なっている3つの防除方法をご紹介したいと思います。
目次
穿孔細菌病とは?
穿孔細菌病(せんこうさいきんびょう)の病原菌は細菌(バクテリア)で、感染すると葉や果実に黒褐色の点々が現れます。
症状が進むと穴が空き落葉したり、製品にならない桃ができてしまいます。
台風のような風を伴う雨が降ると、擦れて傷ついた枝葉に菌が入り込んで感染が拡大します。
穿孔細菌病に感染した枝葉や桃
葉の展開が始まって1ヶ月ほど経った5月、穿孔細菌病に感染した枝を自園の桃の木のから探してきました。
左と中央の枝先が穿孔細菌病に感染しており、右は感染してない正常な枝です。
葉が全く展開しない枝先(左)もあれば、僅かに展開している葉(中央)もあります。正常に展開した枝先(右)と比べると見分けがつきやすいです。
見つけにくいですが、枝の途中に潜伏している場合もあります↓
感染して葉に症状が出てくると小さな穴が沢山空きます↓
成らせる桃の数は葉の枚数で決まっており、たくさん落葉してしまうと収穫できる桃の数も減ってしまうので、生産者(自園も含め)は死活問題です。
そして穿孔細菌病は果実にも感染します。感染した桃の表面には褐色の点々がでて、酷くなると穴が空いてしまいます。
以前、道の駅などの直売所で上の画像のように症状がすすんだ桃が売られていたのを何度か見かけたことがありますが、人体にはまったく影響ないようです。
むしろ減農薬で栽培されているということが考えられますので好んで購入される方がおられるのかもしれません。
3つの防除方法
自園で実施している3つの防除方法をご紹介します。
- 薬剤散布
- 感染した枝の切除
- 防風ネットの取り付けや防風垣を植える
①は桃の花が開花する直前にICボルドーという殺菌能力の高い薬剤を1回、花が散った後からは抗生物質剤(アグレプト水和剤、マイコシールド等)を10日おきに散布、秋にICボルドーを2〜3回散布します。
②徹底した防除を行っても穿孔細菌病をゼロにすることは出来ないので、被害にあった枝葉や果実を見つけ次第、枝の基部から切除することをこまめに行いました。
枝の基部を拡大した画像です↓
昨年伸びた枝は緑色をしていて、おととし伸びた枝は茶色をしています。
昨年伸びた枝、全てを切除します。
穿孔細菌病は新しく伸びた枝に感染しやすいです。
切除した枝は果樹園の外に持ち出し穴に埋めて処理しました。
③は果樹園を防風ネットや防風垣で囲むという方法なのですが、自園では風当たりの強い西側に松や一般家庭の庭にあるような庭木を植えてあります。
以上のことを実施しましたら穿孔細菌病の被害はゼロではないですが、穴の空いた葉をたまに見かける程度に減りました。
まとめ
常に木の様子を観察して、
①薬剤散布
②感染した枝を基部ごと切除する
③被害がひどい場合には防風ネット等を設置する
これら3つの防除を総合的に行う事が、穿孔細菌病から桃の木を守り健康に保つ秘訣です。