「ポストに入ってたよ」
仕事から帰ってきた夫が私宛の郵便物を渡してくれました。
手に持つとどっしり重い感触。
もしかして・・・
ワクワクしながら開けてみる。
中には鮮やかな赤の表紙の図録が入っていました。

「やっときた!」
ページをめくりながら出品作家の素敵な作品を眺めていく。
私には1番見たい作品がある。
「あった!」
籠から溢れんばかりの…いいえ、溢れたたくさんの桃が描かれています。

この作品が1番見たかったのです。
これが私の初入選した作品。
作品名は『桃』。
目次
国際公募展ル・サロン
ル・サロンという公募展があるのをご存知でしょうか?
私の敬愛するルノアールを始め、モネ、マネ、レンブラント、ミレー、といった巨匠らが入選、落選と語っていたサロンは、実はル・サロンの事なのです。
現在は若手国際作家の登竜門と位置づけられているようで、
世界最古の歴史と伝統を持つ国際公募展。それがル・サロンです。
芸術の国フランスで、コネ、忖度の一切ない公平な投票で入賞・入選作品が決まるとのことで、自分の作品が第一線で活躍されている画壇の方々に客観的にどのような評価を受けるのか、今後の画家活動に大きな影響を受けそうです。
ル・サロン展の入選率
入選率は30%〜35%のようです。
私は2度目の挑戦で初入選を果たしました。
最初に挑戦した時は落選しました
最初に挑戦したのは2010年、私がまだ上京先で一人暮らしをしていた頃です。
油絵画で『心の中の風景』という題名でした。資料を見ずに、私の子供の頃の風景を記憶だけを頼りに描きました。
結果は落選。
その時に「現場で描けないものは、決して想像画で代替してはいけません」というアドバイスとともに、
「大自然の造型に勝る造型はない。全ての造型は大自然の中に在る」という故ポール・アムビーユ氏(フランス画壇の第一人者)の言葉が添えてありました。
大自然に勝る造型はない・・・このアドバイスは今も私の心に刻まれています。
最初の挑戦でまだ実力がないことを自覚したので、それから10年はル・サロンに挑戦せずに、精進することにしました。
10年の間に結婚し、嫁ぎ先の果樹園で桃づくりを始めました。
ふと、そろそろかな。と再びル・サロンに挑戦する気持ちになり、初入選をいただくことができました。
展示の様子
代行業者さんがグラン・パレでの展示の様子を撮ってくださいました。

私はパリに行けませんでしたがグラン・パレには以前訪れたことがあったので、あの場の雰囲気の中に私の絵も飾られていたんだなと嬉しくなりました。
果樹園の仕事はキツいけれどこれからも続けます
連日のハードな収穫作業で膝を痛めて寝込んでしまい、気持ちも落ち込んでいましたが、届いたパンフレットを見て、元気を取り戻しました。
桃づくりは大変だけど、絵の活動費だけでなく、題材にもなって画家の活動に結びつきました。
次の日には痛みが引き、その後無事に全ての収穫を終わらせることができたのでした。